辻椀木地木工芸の辻真澄です。

令和6年能登半島地震が発生してからもうすぐ1ヶ月が経とうとしています。

この1ヶ月、様々なことがありましたが、
なんとか辻椀木地木工芸は復興に向かって進んでいます。
それを今日お伝えしたいと思います。

まず、1日の震災発生後から携帯電話の電波がほぼなく、5日にやっと復旧しました。
その間、なんとか電波を探して身近な人々と1日数回ショートメールでやり取りするのが精一杯でしたが、
5日の本格復旧後は、輪島塗関係者の方々、遠くに住んでいる家族や知人、昔お世話になった方々などからたくさんご連絡をいただき、近況を報告してまいりました。

また、震災直後から停電と断水が続いていましたが、
1月20日の夕方に電気が復旧しました。
電気の復旧までに電力会社の方々、送配電会社の方々が入れ替わりで何度も見にきてくださり、20日の電柱の修理後にようやく家と工場の電気がつきました。

それまでは、夕方以降は真っ暗な中ランタンや懐中電灯の灯りで過ごしていて、暗すぎて家の中ではほとんど過ごせず、家の前でキャンプ生活をしていました。

電気が復旧してとても楽になりました。
ライフライン復旧のため、電気関係、下水道関係、
それ以外でも個人の瓦屋さんや業者さんも皆尽力してくれています。
本当に感謝しかありません。

現在は、余震が少しづつ減ったこともあり、
家の玄関で暖を取ったり、寝る時は家の平屋部分の安全な部屋で寝たりできています。
家自体の被害は他より少ないため、ビクビクしながらも居間なども利用し始めています。

食事に関しては、市内のドラッグストアで買い出しをしたり、輪島市の支援物資をもらいに行き利用しているので問題なく過ごしています。
手に入らないものも多いですが、他県に住む方がたくさんの食品などを送ってくださって、本当に助かっています。

私たちは幸い家が無事なため、暖かいところでプライバシーも守られるなか過ごせるまでになっていますが、
水道の復旧がまだなため、生活には不自由を感じています。

衛生面では、お風呂に入れないため
これまで2度金沢の方までお風呂に入りにいきました。その間コインランドリーで洗濯を行っています。
自衛隊の方が行なってくださっている入浴支援にも1度行ってきました。思った以上に快適に入浴できました。

入浴支援

輪島から金沢までの道は震災直後よりはかなり良くはなっています。
最初に輪島、金沢間を車で走った時は5時間半程かかりましたが、現在は3時間程度で到着する日もあります。(日によって違うそうです)
震災の被害に遭ったところとそうでないところでは別世界が広がっていて、今でも夢でないかと思います。

家がなくなってしまった方は被害の少なかった金沢や白山市の方に住居を借り、能登を出ていかれる人が多いです。
二時避難で県外に行かれる方もいます。
避難所はコロナなどの感染症の心配があるなか、輪島市を離れるか、とどまるかの選択を迫られている方、そこまで考える余裕のない方もたくさんいます。

今後ますます奥能登地方から人がいなくなると考えられますが、
私たちは可能な限り、輪島で椀木地業をやっていこうと思っています。
そして2019年から本格的に行ってきた、辻正尭の作家業もこれまで以上に頑張りたいと思っています。

震災後、輪島塗の文化を絶やさないための活動も始まっています。
家の片付けを後回しにして、日々打ち合わせやSNSで発信しています。

https://www.instagram.com/wajimanomirai/

そのため、辻椀木地木工芸としての発信まで手が回っていませんでした。
ろくろが壊れていないかのチェックもまだです。
木地をお待ちいただいている方には本当に申し訳ない気持ちです。
見通しが立つまでもう少しお待ちいただけるとうれしいです。

今後は、こちらの辻椀木地木工芸のオフィシャルサイトのブログでも現状の発信をしっかり行っていきますので
チェックしていただけたらと思います。

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辻真澄